会長メッセージ

 

2025(令和7)年度より、深澤清治前会長の後任として、第17代会長に就任いたしました斉田智里(さいだちさと)です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

全国英語教育学会(JASELE)は、初等教育から高等教育に至るまで、英語教育に関する多様なテーマを扱う学術研究団体です。現在、全国8地区学会によって構成されており、地区学会を含めると約2500名の会員を擁する、日本最大級の英語教育学会の一つです。会員には大学教員のみならず、小学校・中学校・高等学校・高等専門学校の教員や大学院生が多く含まれており、これも本学会の大きな特徴です。

本学会には、さまざまな校種・地域で英語教育に携わる研究者や実践家が集い、互いに切磋琢磨しながら、英語教育の実践と理論の統合を目指して日々研鑽を重ねています。研究や実践の成果は、毎年発行される『JASELE Journal』(旧『ARELE』)に掲載されております。また、関連学会との情報共有や連携を深めるため、言語系学会連合、教育関連学会連絡協議会、教科教育学コンソーシアムにも加盟しています。

1975(昭和50)年に第1回全国研究大会を開催して以来、会員の皆様の献身的なご尽力により、本学会は着実に発展を遂げてまいりました。そして2025(令和7)年には、第50回全国研究大会を開催いたします。学会発足から半世紀という節目を迎えるにあたり、二つの記念出版物を刊行しました。

一つ目は、『全国英語教育学会50周年史―昭和、平成、令和をつなぐ―』であり、「英語教育学」という学問の創設から発展に至る過程を、本学会の沿革史という視点からまとめたものです。二つ目は、『英語教育学の今―実践と理論の統合―』で、総勢100名を超える第一線の会員が執筆し、英語教育学の最先端の研究と実践を一冊の本に集約したものです。いずれも本学会の総力を挙げて刊行したものであり、学会ウェブサイトにも掲載いたしますので、ぜひご覧ください。

近年、英語教育を取り巻く環境は、いっそう複雑化・高度化しています。グローバル化の急速な進展により、外国語によるコミュニケーション能力は、業種・職種を問わず必要とされ、日常生活においても英語を使用する機会が増加しています。国は、グローバル人材育成のための外国語教育の充実を基本施策の一つとして強力に推進しています。公教育における外国語教育の早期化と高度化、中学校・高等学校卒業段階における英語力目標の設定、「全国学力・学習状況調査」や「英語教育実施状況調査」による現状と課題の可視化、小学校入学前の早期英語教育の過熱化、GIGAスクール構想による1人1台端末環境の整備、生成AIやデジタル技術の活用による英語コミュニケーション能力の向上など、社会の英語教育への期待は高まる一方です。こうした諸課題に対して、本学会ではエビデンスに基づいた学問的知見を提供し、英語教育における実践と理論の統合をさらに推進してまいります。

これまでの本学会の優れた取り組みを継承しつつ、学会役員および事務局各部の委員の先生方のご協力を得ながら、会員の皆様の叡智を結集し、学術研究団体として、平和で公正な社会の実現に貢献してまいりたいと存じます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

全国英語教育学会会長

斉田 智里